宝ヶ池の沈まぬ亀 ある映画作家の日記2016‒2020
¥3,200
映画を観る、映画を作る、音楽を聴く、音楽を作る、本を読む、文を書く
食べる、酒を飲む、旅をする、病に冒される、つまり生きる
『Helpless』『ユリイカ』『共喰い』『空に住む』などで知られる映画監督青山真治がコロナの時代を前に記した日付のない日記
翌朝も雨は降り続き、そんななかただ「ショットとは何か」で語られるグリフィスのことばかり脳裏に漂う。しかもあの『スージーの真心』の、男が村を出て行く別れの際に微笑みながら見送るリリアン・ギッシュが背を向けて庭の奥に歩いて行き少し離れた倒木の傍でバタリと泣き崩れる、いやもしくは気を失ったのかもしれないが、あのフィックスの1ショットについてばかりだ。あれを映画史上最も哀しくも美しいショットとして決して忘れることはないが、ここから何かを見つけなければならないと毎度考える。(本文より)
2016年4月から2020年8月まで、WEBマガジン「boidマガジン」に連載された日記を、加筆修正。日記は現在もboidマガジンにて永遠の「続く」を目指して続行中。
boidマガジン
https://magazine.boid-s.com/
■青山真治
1964年7月13日、福岡県北九州市門司に生まれる。立教大学文学部卒。
1996年『Helpless』で映画監督デビュー。2000年『EUREKA』がカンヌ映画祭で二つの賞を受賞。同作の小説版が三島由紀夫賞を受賞。11年『東京公園』でロカルノ映画祭金豹賞。その他の代表作に『月の砂漠』『エリエリレマサバクタニ』『サッドヴァケイション』『共喰い』など。2015年度まで四年間、多摩美術大学映像演劇学科教授。同学の卒業生、甫木元空監督『はるねこ』をプロデュース。制作会社「MINER LEAGUE」設立。2016年京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)映画学科の学科長を一年のみ務める。最新作は『空に住む』(2020年)。
青山真治の中編作品集『FUGAKU』
Ghost Streamにて2月10日(木)より配信開始!
青山監督が多摩美術大学映像演劇科の教授在任中(2012〜2015年)に同科の学生や教員らとともに制作した、過去数回しか上映されていない貴重な中編映画シリーズ。『FUGAKU 1/犬小屋のゾンビ』『FUGAKU 2/かもめ The Shots』『FuGAK 3/さらば愛しのeien』の全3作を配信(3作品セット価格:1,200円)。
https://ghoststreamweb.com/
商品詳細
仕様: 四六判変形 512ページ
ISBN: 978-4-9912391-0-6
発行: boid、2022年
著者: 青山真治